• 2017/10/7
  • 第5回 佐野学市民講座

 10月7日(土)、佐野日本大学短期大学主催、佐野学市民講座「佐野の旧家を訪ねる」の第5回講座が、本学大講義室にて行われました。第5回の講師は、株式会社グローバルエステート代表取締役社長の津久居典彦様。講演タイトルは「津久居家の歴史・田中正造との関係」です。

 前回開催は夏季休暇前(7月15日)で、それから2か月以上の期間が空きましたが、今回も200名近い方々が来場され、大講義室は再び熱気に包まれました。また、今回は講師の津久居様直々のご招待により、パラオ共和国、レソト王国、マダガスカル共和国からそれぞれ駐日大使ご夫妻が、ベナン共和国からは元大使(テレビでお馴染みのゾマホン氏)のご夫人が聴講にいらっしゃいました。

【他の来場者に向かって会釈するパラオ共和国特命全権大使閣下と令夫人。壇上に講師の津久居様】

 津久居様のお話は、佐野市大町の秋山川沿いにある津久居邸付近の地図の紹介から始まりました。現在の津久居邸は秋山川に架かる大橋のすぐ南東にありますが、大正時代の古い地図では大橋の北東に位置しています。これは道路の付け替えにより旧大橋の北側に新しい橋が架けられたためで、津久居家の敷地の位置は変わっていません。江戸時代(末期)の大橋を写した写真や、建て替え前の津久居家の旧い建物を捉えた航空写真の拡大画像なども紹介されました。昭和期の津久居家には、書院、茶室、玄関等のほか、6棟の蔵があり、また四方を大谷石の壁と板塀が囲っていたそうです。かつて皇族がお泊りになったという書院や、千利休作の「待庵」を模して造られたと言われる茶室は、現在それぞれ別の場所に移築されて保存されています。

 津久居家のルーツは現在の神奈川県津久井湖付近にあり、元々は船大工だったと言います。有名な越名河岸など、河川交通で賑わう佐野の地に移り住んだのだそうです。その後、町人の身分でありながら大老井伊直弼と同じ字を使うのは僭越であるとの考えで、「井」の字を「居」に改めたとのこと。津久居家の家系については、寛政3(西暦1791)年に没した8代前の津久居平右衛門まで遡って紹介がありました。講師の津久居典彦様ご自身で37代目になると伝わるそうです。人物や功績についての紹介があったのは、津久居商店を安蘇第一の商家に押し上げたほか、佐野銀行設立に尽力、佐野町議もつとめた津久居平蔵(明治42年没、5代前)と、平蔵に続いて津久居家に隆盛をもたらした彦七(嘉永7年生、昭和2年没、講師の高祖父)の二人です。

【葛生に移築・保存されている津久居家の書院】

【赤城山麓に移築・保存されている茶室】

 津久居彦七の功績は多岐にわたりますが、平蔵の代に安蘇郡第一と言われるようになった津久居商店をさらに発展させ、その資産を膨大なものにしたことに加えて、佐野銀行頭取、日本綿縮製織株式会社社長として地域の経済産業振興のために尽力したこと、佐野町助役、佐野町長などを経て明治41年に衆議院議員、大正14年には貴族院議員(高額納税)となって政治家としても活躍したこと、などが特筆されます。衆議院議員としては上越線敷設運動に携わり、両毛地区から新潟港までの貨物運送時間短縮に貢献しました。大正6年に第2位の株主として設立に関与し、その後社長に就任した日本綿縮株式会社は、当時日本の主力輸出品であり、佐野・足利が主要生産地だった織物生産のあり方を個人経営(家内制手工業)から大規模工場生産へと大きく転換させる契機になったそうです。その他、明治32年に開校した栃木県立第四中学校(現佐野高等学校)の設立にも、津久居彦七は深く関与したそうです。

 津久居商店については、明治30年の綿糸業の売上高、明治35年の所有不動産(土地)金額、同じ頃の株式投資業の主な投資先、彦七が貴族院多額納税議員に選出された際の納税額等の説明がありました。津久居家と田中正造との関係については、来賓の方(上記3か国の大使ご夫妻など)向けに足尾銅山鉱毒問題と田中正造の経歴・功績についての基本的なレクチャーがあったのに続けて、津久居彦七が正造の政治活動や選挙活動を支援したときのエピソードの紹介があり、さらに正造の高い津久居(彦七)評、田中正造から津久居彦七に宛てた複数の手紙、正造他界間際の彦七への暇乞い、正造翁の葬儀と模様と彦七が葬儀委員長を務めたこと、正造翁の伝記編纂に彦七が協力したことなどの説明がありました。

 最後に津久居様は、ご自身が最近取り組まれている国際親善活動についてお話になり、レソト国王王妃を佐野にお迎えし、返礼に同国を訪問して国王の自宅で歓迎を受けたこと、レソトやジブチの子どもたちのためにチャリティーコンサートを開催したこと、近い将来パラオ共和国大統領執務室に佐野市民を迎えてもらう計画があること、などを紹介されました。

 講義の後、参加者との間で活発な質疑応答がなされました。また、パラオ共和国、レソト王国、マダガスカル共和国の大使ご夫妻、ベナン共和国元大使夫人など、来賓として今回の講演の聞きにいらっしゃった方々の紹介に続けて、津久居様から来場者へのサプライズのプレゼントとして、オペラ歌手のマリアセレンさんによる歌曲の披露がありました。

【講演中の津久居典彦様】

【講演にコメントする岡部正英佐野市長】

【講座終了後、別会場で行われた国際交流レセプションの集合写真】

 

講座後のアンケートに寄せられたコメントの幾つかを紹介します。

 お越しくださった皆様、アンケートにご回答くださった皆様、誠にありがとうございました。

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